きよしのぶろぐ

個人的なTips集とブログ。広報ネタ多め。ゆるふわに書きます。発言は個人の見解です。

広報の効果測定方法に奮闘している話

広報マーケティングAdvent Calender2017」に参加しています。
昨年も参加させていただきましたが、当時のブログは消してしまったのでご了承くださいmm

先に言います。長文です(笑)

もうメディア掲載”数"だけで評価されないために

広報の方と話していたり、主催する「広報LT大会」の参加者アンケートで取り上げてほしいテーマとして必ず上がったりするのが、目標の立て方効果測定の方法について。

広報1年目のころは業務を覚えることを目的として、メディア掲載数や記者とのアポ数、企画立案数など行動ベースで数値目標を掲げていました。猛スピードでPDCAを回しまくって1年でなんとなくのコツを掴みました。

でも広報経験を重ねていくうちにこう思うようになります。

  • メディア掲載”数”で評価されたくない!
  • というかメディア掲載だけが広報の仕事じゃない!

と。

そこで、MarkeZineDayでもお話した目標と効果測定について考えてみようと思います。
上記MarkeZineDayの内容を詳細に話す形式になるので、よければご一読ください。

社内に広報価値を見える化させたい

あくまで私の考えですが、ある程度の定量化は必須です。 社内での広報価値を見える化させるためです。

「広報は数字に現れる仕事じゃない」というのも分かりますし、実際にそうだと思います。

たとえば、打ったプレスリリースが1週間以内など一定期間内にメディア掲載に全く繋がらなかったとします。でも、半年後とか1年後とかに突然問い合わせに繋がって…なんて経験をした方も少なくないはずです。

広告であれば期間内に効果がなかった施策は中止され、別の施策を走らせると思いますが、広報の場合は出したプレスリリースを取り下げる訳にもいきません。メディアに報道される内容も広告と違ってこちらがコントロールできるものではありません。

大前提として広報はアンコントローラブルで、長期戦です。コツコツ取り組んできたことが、数年後の会社やサービスのイメージを作り上げます。短期間で成果を出し切れるものでないから「数字に現れない」と言われているのです。

でも、そうやって広報効果をふわふわさせたままだと社内の理解が進みづらくなります。「広報ってメディアに載せるのが仕事でしょ」とか「広報って何をやってるの?」と社員から言われるのは周囲が広報を知らないというより、メディアに載ったという報告しかしていない(できない)からではないでしょうか。

目標設定

ということで、私なりの目標の設定の仕方は下記の通り。

基本は事業部長やマーケ責任者などに課題等を月1でヒアリングしてやることを決めます。目標は通年で追っている数字と案件ごとに立てているものがあります。後者は「◯◯(目的)のためにこういうイベントを開催して参加者満足度◯%を目指す」とか「このリリースは◯◯に掲載してもらう / ”◯◯”(キーワード)をタイトルに入れてもらう」などさまざまです。

前者(通年で追っている数字)は

  • プレスリリース配信数
  • パブリシティスコア

です。

プレスリリース配信数は、意識的にプレスリリースとなりえるレベルのネタ(取り組み)がぽんぽん生まれる会社にしたいと思って追っています。だいたい前年度の1.1~1.5倍の配信数を目標に掲げます。

パブリシティスコアは報道単位の成果をスコアリングしたもので、さまざまな会社の効果測定法をヒアリングして独自に作りました。パブリシティの量と質を追えるようにしています。こちらもだいたい前年度の1.1~1.5倍のスコアが年度目標です。効果測定にもつながってくるので詳細は次の章で。

効果測定

いま効果測定として見ている数字はざっとまとめるとこんな感じです。イベント等パブリシティ以外の案件は案件単位での目標への達成率をみているので、主にパブリシティの効果測定がメインです。

f:id:kiyoshi502:20171219174525j:plain ※MaekeZineDayでの発表資料から抜粋

前述したパブリシティスコアの他、記事単位のセッション数(PV)やSNSでの反響、問い合わせや流入にどれだけ繋がったか、そして参考値として金額換算した場合どんなもんか(いわゆる広告換算)を見ています。

パブリシティスコア

どのメディアに掲載したか、どんな内容・ボリュームで出たかを総合的にスコアリングしています。
計算方法としては
①独自に制定した媒体ランクでどのメディアに載ったかを点数化

②7つの項目にそって報道内容を分析して各スコアを足し算

①✕②=1報道あたりのスコアとします。

報道内容の分析項目は下記です。

  1. メッセージ(キーワードがどのくらい取れているか)
  2. オーディエンス(社会動向や第三者の意見が入っているか/ポジネガ)
  3. リーダーシップ(キーパーソンの発言がどのくらい入っているか)
  4. ディファレンス(数値等の誤りがあるか)
  5. イメージ(写真や図が入っているか)
  6. ポジション(記事中での自社の立ち位置はどこか)
  7. 報道ボリューム(文字数、記事の大きさ、放送時間)

ちなみに、謝罪や不祥事に関する報道の場合は合計スコアをマイナスにするので、良くない報道がでかでかとされるとスコアもぐんと下がる仕組みです。

百聞は一見に如かずですので、公開用パブリシティスコアを用意しています。お好きにアレンジしてご使用ください。
【広報/公開用】パブリシティスコア - Google スプレッドシート
※ここで記載しているメディアやスコアはあくまで例です。

効果測定ツール

問い合わせや流入は各事業部から随時情報を得るとして、その他SNSの反響や広告換算などはいわゆる効果測定ツールを使用します。

私はこの3ヶ月で3つのツールを1ヶ月ずつお試し導入して、結果的にビルコム㈱のPR Analyzerを導入しました。 いろいろ悩んだのですが、良かった点を3つ挙げるとこんな感じです。

①4大マスメディア全てに対応(国内唯一)
 Webだけでなく、TV、新聞、雑誌のクリッピングにも対応。新聞露出が多い企業には嬉しい。(ローカル系には一部未対応)

②7つの指標で成果を把握
 掲載数、広告換算値、重点媒体、AIによる論調分析、SNS波及、内容分類、時系列比較が可能。これらの指標からKPIなどの数値目標に落とし込みやすくなり、PDCAが回しやすくなる。売上レポート等と連携できるのも魅力的です。

③追加料金一切なし
 月額5.5万円で導入が可能(※弊社の場合でした)。他社ツールでは初期費用がかかったり、一見安くとも従量課金モデルを採用していたりするケースが多い。サービスが多く、かつ新規事業立案等に向けた競合調査でも活用したいとなると、クリッピング対象となるキーワードが多くなるため、PR Analyzerが結果的に最もコストパフォーマンスが高い。

ちなみに他に検討したのはWebクリッピングindicatorです。全部1ヶ月ずつ導入して感じたことをいい具合に表にまとめていました(役員への提案用に)。あくまで私の所感ですが、参考まで。自社やフェーズに合ったものを導入するのが一番です。

f:id:kiyoshi502:20171219183942p:plain

PR Analyzerは1月にいろいろとアップデートしてくれるようなので、楽しみです。

まとめ

目標や効果測定がなぜ必要なのか、そして実際にどう設定しているのか、それはなぜかまで書いたら長くなってしまいました。。

いろいろ運用してみると、細かいところがまだまだだなと痛感しています。
媒体ランクも事業部単位で分けるべきでしょうが、そういうのをやりだすとキリがないよなーと思ったり、いわゆるブランド調査した方がいいのかなーと思ったり(ブランド調査はマーケ側でやっているので広報では参考程度に結果を見ています)。
みなさんはどう目標設定・効果測定をしているか是非教えていただきたいです。

最終チェック先を常に◯◯にすることでちょっとしたリスクマネジメントをしているはなし

「明日からできるリスク管理法」をテーマに12日に開催した広報LT大会でLTしました。

prlt.connpass.com

記者会見がどうとかではなくインシデントの防止のために日頃やっていることです。
プレスリリース、(確認ができる)記事原稿といったいわゆるパブリシティに関しての取り組みです。

speakerdeck.com

もともとこれは割りと当たり前かな?と思っていたんですが、
ちらっと数社の広報さんとリスクマネジメントについて話していたときに
「へー!」って言われたので、発表してみようと思いました。

当日はなぜこういう体制にしているのかもお話しましたが、一般公開ではオフレコにしています(すみません)。

危機管理について言うと、もちろんアクシデントが発生しないに越したことはないです。
でもだからといって無知のままでいるといざというときの対応スピードが遅くなり、火に油を注ぐ状態にも成りかねませんよね。
特にベンチャーやスタートアップでは経験がなくて社内にノウハウがないことがほとんど。

そういう意味ではこの日、さまざまな会社の取り組みが聞けて大変勉強になりました。(自分が企画しているイベントながら)

そんなみなさんの素敵な発表はこちらからチェックしてみてください。

note.mu

まだまだ学び途中なので、これをきっかけにいろんな会社の方から「うちはこうしてるよ」という連絡が来るといいなあ。。

余談

もっと(他社の事例が)知りたいから、もっと学びたいから、
私はどんな些細なことでも自社の(私の?)事例をたくさん話しています。

大したことでなくたって、世の中の誰かひとりくらいの役には立ってるんじゃないかと思うようにしています。
何より、アウトプットの量は必ずインプットの量に影響してくる。
少なくとも私はそう思っています。

一方的に聞いてても、一方的に話し続けていても成長しない。
情報「交換」ができる人とコミュニケーションしていきたいものですよね。

というわけで、広報の方は会社の情報だけじゃなくて自分の取り組みをもっとアウトプットしてもらえると嬉しいです。 広報LT大会を運営する想いはこういうところにあります。

プレスリリースの暗黙の掟を破ってみたけど 全然平気だった話し

ことしの1月に広報LT大会でしゃべったLTのスライドです。 prlt.connpass.com

いろんな方がシェアして、広報ネタなのにdots.(今はTECH PLAY)の1月の人気スライド1位になったりと反響もあったので既に見た方も多いかと思います。

基本的にはメディアの方から「たしかに要らないと思ってた」とご意見もらったり、さっそく自社で取り入れられた広報さんもいたりしますが、あくまで私の所属する会社のいまのフェーズだからこそ出来ることです。

(自社に適す発信方法かどうかを考えるのは広報として当たり前だと思ったので口頭でしか言わなかったのですが、それが故にスライドだけ見た一部の方からこれどうなの?的な意見をいただきました)

上場している、社名とサービス名が一緒だから紛らわしい、社長が訴求力になっている・・・様々な事情があると思うので「ふ~ん」程度に見てほしいです。。

※そもそも弊社ではプレスリリースは配信ツールやコーポレートサイト、もしくはメールを通じてダイレクトに発信します。「株式会社」や所在地etcはなくてもすでに会社情報を登録してある場所から発信するのがデフォなので「会社なのかNPOなのか判断できない」等という状況にはなりにくいと思っています。

speakerdeck.com

これで言いたかったのは最後に書いてあるとおりで、

「業界的にこうしないといけない」と勝手に決めつけて何も考えずに見よう見まねで発信するんじゃなくて、
自社にとって最適な情報発信の仕方ってなんだろう
相手(この場合は記者)にとって一番最適な伝え方ってなんだろう

という目線で当たり前にしていたことを見直してみるのもありだよね、ということです。

私は新卒で社内に誰も広報経験者がいない中、広報になりました。

そんな私がお手本にしたのはいろんな会社のプレスリリースです。
1日10社のプレスリリースを印刷して内容を分解したりキーワードにチェック入れたりして自分なりに伝わりやすいプレスリリースのフレームを見つけてきました。
(「プレスリリース10本ノック」と呼んでいました)

でも、そうやって真似ているだけじゃ頭ひとつ抜け出ることなんてできないんですよね。

なぜこうしたお作法が一般化されたのかを理解するのは大事ですが、私はそれを踏まえた上でどんどん新しいことにも挑戦していきたいです。

プレスリリースの書き方でポイントにしている細かい日本語のはなし

広報と切っても切り離せないのが「プレスリリース」ですよね。

文字数の制限がない故にダラダラ書いちゃうあるある、ありませんか?

自分では言いたいことを丁寧に説明しているつもり。でも、傍から見たら「なんだよこのクソ長文」ってなって斜め読みされ、結果的に意図しない解釈のされ方をしてしまうリスクもあります。

実はいま月に1回、元経済新聞で顧問をされていた方にビシバシ指導してもらっているところです。
トレーニングしている身だからこそ学びをアウトプットします。

私が最低限気をつけているのはこの4つです。

1文60文字以内

特にやりがちなのが導入文。
「株式会社◯◯は~~~な~~で~~を~~から開始します」
ここだけで5行くらい消費しているプレスリリースを見たこともあります。
サービス名などの固有名詞が長いともう地獄ですよね(笑)

一文が長い文章は読みにくい上に係り受けスパゲティ状態でわけわからなくなります。
声に出して読み上げていて苦しくなったら2文に分けるよう意識すると良いそうです。

1段落2~3文

ひとつの段落で盛りだくさんに書かれていると視覚的にも「うわああ・・・」って引きますよね。
溢れんばかりのその会社愛が、一生懸命書いたその文章が、結果的にスルーされ伝わらなくなります。

ちなみに、ブログなどWebで書くことに慣れてしまったからか
段落のはじめを一文字空けしないプレスリリースが増えているみたいです。
小学校の作文では散々やったのに、いつの間にか忘れてしまうんですね。 (私も以前までやらかしていました)

「~における」は使わない

これがなかなか直らなくてよく注意されています。
「かっこよく聞こえるから使いがちだ」と指摘され、返す言葉もありませんでした(笑)

単純に「~で」に直せばいいんです。
思えば新聞記事で「~における」なんて見たことありません。
余計な装飾するくらいなら1文字でも減らして文章を引き締めろ!!と言われます。。

接続詞を極力省く

「また」「そして」といった順接は特に省くように意識しています。
なくても通じるものは入れない。これに尽きますね。
ただ、「しかし」などの逆説はないと意味が通じなくなるのでこちらはしっかり書いています。

おわりに

これらはリリースには数字を盛り込め!とかタイトルの付け方とかに比べたらちょっとしたことかもしれません。
でもそのちょっとしたことが積み重なっていくものです。

何度も繰り返し読んでいるこちらの本の冒頭に、こんな言葉があります。

book.impress.co.jp

良い文章とは完読される文章である

だらだら書いたが故に誤認されるリスクを減らすためにも、無駄のない"完読される"プレスリリースを目指したいものです。

新聞記事の署名あり・なしの違いを記者に聞いたはなし(過去ブログ転載)

先日とある広報さんに「こないだ調べ物をしていたら吉田さんの過去のブログに行き着いて助かった」と言われ、この記事を思い出しました。
2年前に投稿したものですがそのまま転載します。
(その過去ブログ自体は恥ずかしくなって消したw)

なぜ、署名記事と非署名記事があるのか

広報の日課のひとつが新聞チェック。

会社にもよりますが、日経新聞は最低でも皆さん抑えていらっしゃると思います。

学生時代なんて新聞は家でまったりしている時しか読まなかったので、
私は広報になって一週間、新聞研究をしました。

コンビニで売っている主要の新聞(朝刊)を一週間毎日買い、全部の面を読み込むというものです。

この6新聞をチェックしたと思います。

この面は経済面で、こんなニュースが多くて…とメモしている中で気になりだしたのが「署名」です。

ある記事には文末に記者の名前があるのに、またある記事にはない。
【署名記事】と【非署名記事】この差はなんなんだ、と。

で、最近それが解決したのです。(最近なのかよ)

署名記事は「その人が書く」ことに意味がある

署名記事をよく出されている記者さんとお会いした時に、思い切って聞いてみました。
すると、「良い質問ですね!」とこんなことを教えて下さいました。

「署名記事の多くはインタビューや取材を経た記者の見解が含まれています。つまり文責として表記する他、その人にしか書けない、その人が書いた事に意味があるということを示しています

一方の非署名記事はストレートニュースが多いですよね。じっくり温めて書き上げたもの、というより事実を正確に早くお伝えするための記事なので誰が書いたなんて重要じゃない。だから署名の必要がないんです」

ふむふむ。たしかに。
思えば3社ほどのサービスを揃えて1つの社会現象として紹介する記事や、社長インタビューなどは記者さんのお名前がよく入っていました。

逆に、資金調達情報や新サービス紹介記事は基本署名はありません。

き「だから日経新聞は署名記事が少ないんですね!」

記者さん「そうですそうです。比べると朝日新聞は多いと思います。各紙の論調や特徴が分かれているのもこの署名記事の多さが少なからず影響しています」

き「そういえば、朝日新聞の記者さんは実名でTwitterなどもやってますよね」

記者さん「それでいうと日経新聞の記者は職業を公開してSNSを利用するのは禁止です。各社が記者そのものをどう見せたいかがこういう形で露わになるんです」

署名記事あり・なしは掘り下げていくと新聞の論調だけでなく、各社の記者という存在に対するスタンスにまで行き着きました。
記者の見せ方…これも広報戦略なんだろうなあと思うと、なんだかしみじみとしちゃいました。

おまけ

「新聞記事 署名 あり なし」でググって一番上に出てくるのが過去ブログです(リンク先は消したので404)